しらふ倶楽部

昭和の漫画(劇画)を遠望する

ストリートビューで「つげ義春」を旅する

つげ義春を旅する』(高野慎三著、ちくま文庫)は、つげ作品の舞台となった地を訪ね歩いた本である。

『池袋百点会』という短編に登場する錦糸町の「ランボウ」という喫茶店は、実際は「ぶるぼん」という名で、1960年前後のころに作者が毎日通った店らしい。

そこでグーグルのストリートビューで探してみた。
錦糸町駅から北へ進み太平4丁目交差点を(蔵前橋通りを)渡ろうとして左方向を向いたら見えたという。交差点より左(西)、通りの南端のようだが、見つからなかった。

本の初版の1997年ごろは、あったらしく、その十数年前(80年代?)につげ氏が近くへ寄ったときに見つけて「まだあったのでびっくりした」とのことで、97年頃も存在したという感動的なリポートが書かれていた。しかし当時からさらに20数年が過ぎているので、どうだろうか。

ぶるぼん つげ義春

けっきょくグーグルの通常検索で、mixiの記事を見つける。
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=422797&id=7888417
mixiは完全公開ではないので、一部だけ。写真を拝借した。
記事によると2006年06月21日の3日前には、既に閉店して看板が外されていたという。写真はその1年前に撮影されたという。
店の住所は「東京都墨田区太平3丁目9-5」と書かれているので、再びストリートビューを見ると、次の写真の工事中の現場あたりを指し示した。

2006年に始まった工事が今年2022年まで続いているわけではないと思うが……、ストリートビューは数年前の写真であることも多いようだ。
残念ながら、店は今はないようである。

 

同書には太平町を歩いた帰りに見かけた「太平まんじゅうを売る生菓子喫茶」の写真がある。
現在のストリートビューでは「すみだ江戸切子館」の看板が出ている建物だろうと思う。
道の角を「角切り」した5角形の土地に建つ木造建物で、屋根は方形のような形だが、土地と同じ形の5角形なのだろう。「太平まんぢゅう」で検索すると出るようだ。

 

次は『長八の宿』で知られる伊豆松崎の宿・山光荘。(グーグル)

三光荘 長八の宿

 

昔よく歩いた道が今はどうなっているか知りたいとき、グーグルのストリートビューは便利である。

実はわれわれの自宅の外観もグーグルによって撮影公開されてしまっているわけなので、撮影された側の迷惑にならない範囲で、グーグル画像を利用させてもらうことはできるだろう。