しらふ倶楽部

昭和の漫画(劇画)を遠望する

しらふ倶楽部  昭和の漫画を遠望する


2024-01-01から1年間の記事一覧

『ワンダースリー(W3)』と時間SF

「時間」とは何だろうと漠然と考えるようになって、昔のSF漫画を思い出しながら、いくつか良いSF小説(時間をテーマにしたものを「時間SF」というらしい)があれば探して読んでみようかと思っていたところ、あるとき、「日本を代表するSF作家は手塚治虫で…

『望遠鏡2024』

『望遠鏡2024』が完成し、発刊になりました。 A6判、本文96ページ。 手塚治虫、つげ義春、石子順造の3人の「特集」といっても良いような内容か。 本ブログ掲載の2022~23年の記事から、文章を詳細に点検・修正、再編集したものが多いです。 母物についての…

「影」12号の表紙

昭和30年代に貸本の世界では、『影』や『街』などの短編誌ブームが起り、大阪の辰巳ヨシヒロ、佐藤まさあきらの短編作品がつぎつぎに発表され、それは劇画の勃興期の時代であるとされる。 佐藤まさあきの自伝『劇画の星をめざして』(文藝春秋1996)を読んで…

1967年の雑誌『COM』創刊

自分史的漫画50年史 7 雑誌『COM』(虫プロ商事)は1967年1月の創刊で、手にしたのは、7月号からだった。COM(コム)は『ガロ』に対抗意識をもった手塚治虫自身が主導したものといわれるが、当時の中学生としては、マンガも研究の対象になりうるものであるこ…

つげ義春インタビュー対談集、アックス160号の安部慎一特集

『アックス』160号(9月上旬発行予定 青林工藝舎)は、安部慎一特集であり、「『孤独未満』のころ」と題した一文を載せてもらうことになった。 『アックスVol.160』表紙。70年に描かれた安部慎一氏幻の作品「籠の鳥」発表!同じく個人誌『望遠鏡第15号』に掲…

『懐かしのヒーローマンガ大全集』

『懐かしのヒーローマンガ大全集』(1987)は文春の文庫漫画の第三弾。「ヒーローマンガ」とはよくわからない言葉だが、「月光仮面」や「赤胴鈴之助」など、テレビドラマになった探偵物や時代劇などが収録される。昭和30年代の別冊付録を1冊分掲載のものもあ…

1966年 「別冊」と新書判

自分史的漫画50年史 (6) 1966年は、新書判コミックスの元年といわれるが、わが蔵書リストを見ると、(後年の収集本だが)66~67年の新書判は、半分以上が白土三平で、他に水木しげると永島慎二。どれも元は貸本時代の作品がほとんどである。手塚治虫は『ロッ…

少年ブック 1965年9月号

自分史的漫画50年史(5の2) 1965年に集英社の雑誌『少年ブック』9月号を買うために、本屋まで30分以上を歩いたのは、小学校6年生の夏休みのことだった。 きっかけは前年の光文社のカッパコミックス『鉄腕アトム』がだんだん飽きてきて、65年は集英社のテ…

『ビッグX』~戦争の傷痕と愛の物語

自分史的漫画50年史(5)1965年 『ビッグX』は、手塚マンガとしては『鉄腕アトム』に続く2つめのアニメ化作品だった(制作は虫プロではない)。 1つめの『鉄腕アトム』は、放映開始1年後(1964年1月)から、光文社からカッパコミックス版が毎月出版され…

『幻の貸本マンガ大全集』

幻の貸本マンガ大全集 『幻の貸本マンガ大全集』 (文春文庫ビジュアル 1987)は、『マンガ黄金時代』(1986.6)に続く第2弾。第1弾が、ガロ・COM傑作集のようなものなので、次に「貸本漫画(劇画)」とは、面白いシリーズが現れたと、当時は思った。貸本は…

モダニストについて少し

手塚治虫とモダニズムについては、われながら新しい見方で面白いと思った。 これまで日本のモダニズムなるものについて、筆者はほとんど勉強して来なかったが、最近になって少し本をあさっている。 昭和初期の日本モダニズムは、あまり思想的なものはなく、…