しらふ倶楽部

昭和の漫画(劇画)を遠望する

つげ義春研究

つげ義春の『四つの犯罪』は

つげ義春の『四つの犯罪』は、1957年の貸本マンガであるが、たいへん優れた作品である。96ページ四話の短編のオムニバス形式なのだが、先日ぱらぱらめくっていて気づいたことがある。4話のうち3話は、アパート住まいの独身男をめぐる事件だということ。こ…

万力のある本棚(つげ義春編)

『つげ義春漫画術』は、つげ氏の全作品をふりかえってのインタビューが中心の本で、索引は特にない。そこで、話題に出た本と著者の名前を、リストアップしてみた。当時つげ氏が読んでいた本、作品のヒントになったり影響を与えたかもしれない本などの一覧と…

つげ義春作品の探偵物的要素

つげ義春について、短編が主ではあるが、物語やストーリー展開の「上手さ」ということは、たびたび指摘されている。『つげ義春漫画術』という長時間インタビューの本によれば、つげ氏の若い時代には、探偵小説では、横溝正史のようなおどろおどろしいものは…

つげ義春大全 別巻1

『つげ義春大全 別巻1 (随筆)夢日記 僕の漫画作法』(講談社) 発行は2021年2月。帯裏に「つげ義春大全 堂々完結」と書かれる。大全のうち初期作品のカラーのものを何冊か揃えていたが、そろそろ完結したのではと思って調べてみると、とっくに完結していた…

ストリートビューで「つげ義春」を旅する

『つげ義春を旅する』(高野慎三著、ちくま文庫)は、つげ作品の舞台となった地を訪ね歩いた本である。 『池袋百点会』という短編に登場する錦糸町の「ランボウ」という喫茶店は、実際は「ぶるぼん」という名で、1960年前後のころに作者が毎日通った店らしい…

つげ義春の『長八の宿』

つげ義春の『長八の宿』は、ある青年が、西伊豆にある「長八の宿」と呼ばれる旅館に宿泊したときの話になっている。 旅館の女中さんたちや下男のジッさんたちと、青年とのユーモラスなやりとりが、ほほえましく楽しい。 女中頭のお金さんは、建物のしっくい…