しらふ倶楽部

昭和の漫画(劇画)を遠望する

2023-01-01から1年間の記事一覧

モダニズムと手塚治虫

手塚治虫の初期の習作のいくつかは、文庫全集の1冊で読むことができるようになった。それらを読むと、可愛らしい少年少女は登場しないことに気づく。大人たちばかりが出てくるストーリーである。女性は、羽根が生えて空を飛んだりするが、洋装の大人である…

手塚治虫の低調期と「のっていた時期」

●1954~59年の低調期手塚漫画で本当に退屈でしかたなく、我慢してなんとか読み通したものが、いくつか記憶にある。「我慢して」というのは、鈴木出版発行の貴重な本を1970年頃に運良く手に入れることができたので、とにかく目を通そうと思ったからである。 …

『マンガ黄金時代』

『マンガ黄金時代』は、かつての『ガロ』と『COM』を主体に、1960年代後半~70年代前半の記憶に残る短編32編を750ページにまとめた文藝春秋の分厚い文庫本である。当時では、つげ忠男や鈴木翁二までが文庫本で読める画期的な本だった。一種のアンソロジーと…

紙芝居と広場

紙芝居と広場 『貸本屋とマンガの棚』(高野慎三著、ちくま文庫)だったと思うが、「紙芝居の衰退の原因をテレビの影響とする説には大きな無理がある」(38p)という一文が目に入り、その前後などを読んでみた。 紙芝居とは、自転車の荷台に紙芝居の道具と駄菓…

つげ義春の『四つの犯罪』は

つげ義春の『四つの犯罪』は、1957年の貸本マンガであるが、たいへん優れた作品である。96ページ四話の短編のオムニバス形式なのだが、先日ぱらぱらめくっていて気づいたことがある。4話のうち3話は、アパート住まいの独身男をめぐる事件だということ。こ…

アトム今昔物語 復刻版

『アトム今昔物語 復刻版』 メディアファクトリー 2004 アトム今昔物語は、1967年1月から69年2月まで、サンケイ新聞に連載されたものだが、単行本化のときに100ページもカットされたとのことで(全集版も同じ)、そのノーカット版がこの「復刻版」ということ…

自分史的漫画史~1964 鉄腕アトム

●1964年 鉄腕アトムのテレビ放送の開始から1年になろうというころに、カッパ・コミクス『鉄腕アトム』が創刊された。 「光文社のカッパ・コミクス鉄腕アトムは日本ではじめてのコミック雑誌です」と謳われ、内容は「鉄腕アトム」の連載初期のものを収録…

冊子印刷での画像の解像度について

近年、安価な冊子印刷が普及している。冊子には画像を多く使いたいが、画像の解像度はどの程度が適切かという問題である。 冊子作成の流れは、ワープロだけでも十分であり、ワープロ文書に画像を挿入しページ番号なども整えて、文書保存はPDF形式で保存し、…

新年、このブログの今後

昨年の春から始めたこのブログであるが、アクセスはいたって少なく、あまり読まれていない。別のブログでなまじ成功体験のようなものがあったので(学研ブログランキング評論部門1位)、書けばそこそこ読まれると思っていたが、甘いのだろう。 しかしこの分…